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【さよなら、シリアルキラー】あらすじ・ネタバレ、読んだ感想をレビュー

 

全米では常に30人以上のシリアルキラーが活動していると言われています。過去には猟奇的な犯行がセンセーショナルに取り沙汰された殺人鬼も大勢いました

そんなシリアルキラーの子どもに生まれてしまった少年はどんな人生を歩むのでしょうか?

まず間違いなくその人生は平坦なものではありません。彼の行く先には数々の困難や波乱万丈の試練が待ち受けています。

今回はシリアルキラーの息子を主人公にしたバリー・ライガの青春ミステリー

案内人
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「さよなら、シリアルキラー」をご紹介します。

 

 

「さよなら、シリアルキラー」あらすじ

主人公のジャズは平和な片田舎ロボズ・ノットの高校生。

ジャズの父親のビリー・デントは124人の犠牲者を出した全米最大のシリアルキラー。現在は刑務所に収監されており、ジャズは認知症の祖母と二人暮らしをしています。

大量殺人鬼の息子の出自から学校では敬遠されているジャズですが、学校唯一の黒人のガールフレンド・コニー、血友病でお調子者の親友・ハウイーら良き理解者に恵まれ青春を謳歌していました。

ある日ロボズ・ノットで殺人事件が発生、ビリー・デントの模倣犯の可能性が浮上します。

事件に父親かその信者が関わっているかもしれないと睨んだジャズは内密に調査を開始。

実はジャズはビリー直々に、最高のシリアルキラーになる為の英才教育を施されていたのです。

はたしてジャズは事件の真相に辿り着き、町の悪夢を蒸し返す犯人を捕まえられるのでしょうか?

 

ジャズは高校三年生。町ではちょっとした有名人だ。ある日、指を切りとられた女性の死体が発見され、ジャズは連続殺人だと保安官に訴える。なぜジャズには確信があったのか―彼が連続殺人犯の息子で、父から殺人鬼としての英才教育を受けてきたからだ。親友を大切にし恋人を愛するジャズは、内なる怪物に苦悩しつつも、自ら犯人を捕えようとする。全米で評判の青春ミステリ。

(「BOOK」データベースより)

 

「さよなら、シリアルキラー」ネタバレ感想

本作は全米ベストセラーになったヤングアダルト小説。シリアルキラーの息子が主人公というのがまず斬新な設定です。

シリアルキラーの父親に英才教育を施されてきたジャズは、圧倒的な殺しの才能を持っていました。しかしジャズは父のようにはなりたくないと抗い続けます。

ですが世間はシリアルキラーの息子を放っておいてはくれません。学校ではその生い立ち故に孤立し、マスコミに執拗に付き纏われます。

ジャズが屈折せず日々を送れるのは、常にそばで支えてくれるガールフレンドと親友のおかげでした。

あらすじだけ抜き出すとなかなかショッキングですが、本作はむしろ爽やかな青春小説です。文体はライトでテンポよく、翻訳小説特有の読みやすさがありません。

実際全米では十代の少年少女に支持を得ており、ティーンエイジャーがハマるツボを押さえています。

ジャズもまた多感な十代の少年であり、時には他人を憎んで殺意を抱くことがあります。他者との違いは妄想を実現できる知識と技術があるかないかだけ。

実際ジャズなら証拠を残さず邪魔な人間を葬り去ることも簡単なのです。

息子に後を継がせようと企むビリーの誘惑に抗い、ギリギリでこちら側に踏みとどまるジャズの苦悩と葛藤には読んでる間中ドキドキハラハラし通しでした。

 

「さよなら、シリアルキラー」見どころ

「さよなら、シリアルキラー」をエッジの利いた青春小説たらしめているのは、軽やかな文体と登場人物の魅力です。

軽口で場を盛り上げるハウイーの朗らかさと、彼氏を優しく導くコニーの聡明さも忘れてはいけません。

善と悪の境界線で危なっかしく揺れ動くジャズを日常に繋ぎ止める二人の存在は、シリアスに傾きがちな空気を和らげてくれます。

ジャズ自身の特殊な立場もさることながら、黒人と白人の恋愛やそれに纏わる偏見、持病故に親の過干渉に耐えざるえない息苦しさなども盛り込まれ、マイノリティの生き辛さを浮き彫りにしていました。

ビリーの存在感が強烈ですが、ジャズの顔見知りの保安官やコニーの家族など良き大人たちも登場します。

物語を進むとジャズの出生や消えた母親に纏わる衝撃的な秘密が明らかにされ、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなし。

「さよなら、シリアルキラー」は悩み多き息子が親の呪縛から解き放たれ、自分の足で歩き出す話です。このテーマ自体は普遍的で誰もが共感できるはず。

ジャズがどのようにしてビリーを乗り越えていくか、ぜひ見届けてください。

 

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