片思いや実らない恋、そして成就するまでの初々しい駆け引き……。
切なく心をかき乱される「恋愛小説」を夢中になって読んだことがある人も多いのではないでしょうか。
今回は切なく甘酸っぱいれない小説12選をご紹介します
名作ばかりなので、有名映画やドラマの原作となったものも多いです。この機会に手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
恋愛小説おすすめ12選【10代〜40代】胸キュンする名作
いま、会いにゆきます
(市川拓司/小学館)
恋愛小説のベストセラーと言えば市川拓司の「いま、会いにゆきます」でしょう。映画化・ドラマ化も果たした超名作です。
ファンタジー的な要素も多い同作。雨の季節に秋穂巧のもとに、1年前に病死した最愛の妻が現れます。
動揺する巧ですが、すぐに澪には生前の記憶がないことに気付きます。それでも巧と息子の佑司は澪を受け入れ、ゆっくりと愛を育んでいきますがーー。
巧と澪の慈しむような恋も切ないのですが、巧が澪の死後から体調を崩す佑司を大切に思う気持ちも繊細に描かれています。涙なしでは読めない、切なくて美しいラストは必見。
世界の中心で、愛を叫ぶ
(片山恭一/小学館)
こちらも映像化を果たした恋愛小説の人気作。中学からの同級生だった朔太郎とアキは、高校に上がると自然にお互いに惹かれて恋人になります。
お互いを恋人として歩むが高校卒業後、アキは白血病にかかり、体調はどんどん悪化。
朔太郎は、アキがあこがれていたオーストラリアに連れて行くため、危険を冒して病院からアキを連れ出してしまいます。転校が悪い中、空港に向かいますがアキの体調が急変。アキは命を落としてしまいます。
朔太郎は大人になっても彼女のことが忘れられずその後を過ごしていきますが、思い出と共に少しずつ前を向いていきます。「忘れられない恋愛」に誰もが胸を締め付けられるでしょう。
陽だまりの彼女
(越谷オサム/新潮文庫)
恋愛要素、ミステリー要素、ファンタジー要素が入り交ざった名作。「恋愛小説は気恥ずかしくて読めない」という方にもオススメです。
主人公が幼馴染みと十年ぶりに再会した所からストーリーは始まります。「学年有数のバカ」とさげすまれていた彼女は、可憐で出来る女へと変わっていた。
驚く主人公ですが、彼女は後ろ暗い秘密を隠しています。主人公がその秘密を解き明かしたとき、「恋」へと落ちていきます。
誰かを好きになるかけがえのない瞬間を味わえるような作品です。何度読んでもラストでは涙ぐんでしまいます。
君の膵臓を食べたい
(住野よる/双葉社)
2016年の本屋大賞に輝き、いくつものランキングを総なめにした同作。現在は人気作家となった住野よるのデビュー作です。
主人公である僕はクラスメイトの女の子の命が長くないことをふとしたきっかけで知ってしまいます。彼女が「死ぬまでにやりたいこと」を主人公も一緒に付き合っていくうちに、お互いの人柄に惹かれていきます。
じれったい恋に少しずつ距離は近づいていきますが、彼女は余命を全うする前に通り魔に刺されてなくなってしまいます。
物語はそこで終わりではありません。「人を愛すること」を考えさせられる作品です。
君の名は。
(新海誠/KADOKAWA)
2016年に発表され、ロングヒット作品となったアニメ映画「君の名は。」の小説版。新海誠監督が自ら手掛けています。
田舎町で暮らす三葉と東京に住む瀧は夢を起点に入れ替わった生活を送ります。やがて2人は惹かれていきますが、ある日突然、入れ替わらないようになってしまいます。
三葉との再会を願い、記憶をたどって彼女を探す瀧ですが、実は三葉は3年前の隕石の落下により死亡していたことが分かります……。瀧が彼女を救い、もう一度出会うまでの物語です。
映画を見た人も見てない人も、息もつかせない展開と綺麗な描写、そして2人が思いあう強さに引き込まれるでしょう。
百瀬、こっちを向いて。
(中田永一/祥伝社)
痛いくらい切ない恋愛小説を読みたいならこの一冊。主人公のノボルは尊敬していた先輩に、交際相手の百瀬陽と恋人同士のふりをしてほしいと頼まれます。
竹を割ったような性格ではっきりと物をいう美少女の百瀬に、全てが平凡なノボルは「恋人のふり」を続ける中で本当に好意を持っていきます。しかし百瀬が好きな人は先輩で、その先輩には本命の彼女がいます。
蓋をしていた「好き」という気持ちに、大人しいノボルが徐々に自分に正直になっていき告白までするのに、思わず励ましたくなります。
きみはポラリス
(三浦しをん/新潮文庫)
三浦しをんの傑作11作品をまとめた恋愛短編集。王道的なきらきらとした恋愛小説ではなく、全編通して一筋縄ではいかない恋愛模様を描いています。
誘拐犯とその被害者や、男性同士の恋愛、禁忌を飛び越える2人ーーなど、読んでいて飽きない短編ばかりです。
筆者の三浦しをんの文章は非常に読みやすく心情描写も上手なため、「恋愛小説にあまりなじみがない」人や「少女漫画のような恋愛小説は読み飽きた」という人にピッタリ。ひとつとして同じ恋愛はないと思い知らされます。
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舟を編む
(三浦しをん/光文社)
こちらも三浦しをんの作品。2013年に映画化されています。舞台はとある出版社の窓際部署。
「大渡海」という辞書を編纂する部署に出向した馬締は、持ち前の「ド真面目」な性格を活かして真摯に取り組んでいきます。仕事一筋で没頭する中、馬締は下宿先の孫娘・林香具矢にひとめぼれしてしまいます。
お互い認め合うもののなかなか進まない関係性に読者も思わずジレジレ。しかしながら「辞書」という珍しいテーマが興味深く、日本語を掘り下げる面白さも相まって一気に読んでしまいます。
恋愛に関しては急展開や驚くような切ない事件はないものの、心がじんわりと温かくなります。
君に恋をするなんて、ありえないはずだった
(筏田かつら/宝島社文庫)
とにかくキュンキュンしたいならこの一冊。爽やかな青春や恋愛を感じることができます。地味な男子高校生×ギャルのクラスメイトという設定だけで胸がときめくようです。
地味で冴えない飯島靖貴は、クラスメイトの北岡恵麻を助けたのをきっかけに、恵麻から距離を詰められます。派手な恵麻に靖貴は壁を作りますが、恵麻は構わずに話しかけてきます。
とにかくツンデレな恵麻が可愛く、2人の甘酸っぱい恋愛で思わず笑顔になってしまうくらいです。嫉妬や勘違いによるすれ違いなど、ほほえましく応援したい気持ちになれました。
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記憶喪失の君と、君だけを忘れてしまった僕。
(小鳥居ほたる/スターツ出版文庫)
表題通り記憶喪失の少女と主人公が恋に落ちるストーリーですが、伏線回収がとにかくすごい恋愛小説です。
無気力に毎日を過ごしていた小鳥遊公生は、自分の名前以外を忘れた華怜と出会います。記憶が戻るまでの間だけ華怜と同居するものの、華怜の素性はなかなか分かりません。
生活を共にするうちに2人は恋に落ちていきますが、ラストには全てをひっくり返すような号泣必死の展開が待ち受けています。
2人が出会った意味や迎える最後の意味など、深く考えさせられます。伏線や思わぬ展開が多いので、一気読みしてしまいました。
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ジョゼと虎と魚たち
(田辺聖子/KADOKAWA)
さまざまな恋を描いた珠玉の8編を納めた短編集です。表題作「ジョゼと虎と魚たち」はアニメ映画化、コミカライズ化も果たしました。
足が悪く、車いすで生活する少女「ジョゼ」と、彼女の世話を請け負った「恒夫」。
外の世界を知らず気性の荒いジョゼに最初こそいらだつ恒夫ですが、長い時間を過ごしていくうちに彼女の魅力に惹かれていきます。
そして海や外の世界にあこがれる彼女を連れ出したいと願うようになります。1997年に発行された同作ですが、現在でもポップで読みやすい文体で引き込まれます。
余命10年
(小坂流加/文芸社)
同作は2022年3月に小松奈々と坂口健太郎の主演で映画化されヒットしました。
難病により「余命10年」を宣告された茉莉は、報われないことを見越して「恋はしない」と心に決めます。
余命を知った茉莉の恋愛だけでなく、友情や家族、周囲の人間、没頭する趣味など人間らしい魅力がつまった一冊。生きるとは何か、愛するとは何かを訴えてくるような作品です。
彼女に恋人として寄り添う和人には、「恋人だからこそ病気のことを言えない」という切ない思いも繊細に描写されています。特に女性の方におすすめの作品です。
まとめ
以上、おすすめの恋愛小説12選をご紹介しました。
切ない思いや恋の始まりや成就するときの胸躍るような気持ちを味わえる名作揃いです。
小説を読んだあとに映画を鑑賞してみると、また違った見方ができるでしょう。ぜひ読んでみてください。
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