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漫画【よろこびのうた】あらすじ・ネタバレ、感想をレビュー

 

超少子高齢化が社会問題化して久しい昨今、老々介護に悩める家庭も少なくありません

ウチヤマユージ「よろこびのうた」は実際に起きた福井火葬場心中事件をベースにした漫画。

過疎化の著しい限界集落を舞台に、火葬場で心中した老夫婦の真実を追いかけます。

 

 

「よろこびのうた」あらすじ

ある地方都市の火葬場で老夫婦が生きたまま焼かれる事件が発生しました。

警察の捜査の結果老々介護を苦にした心中と判明。火葬炉で焼死した男性は認知症の妻を献身的に世話していたと地元住民の証言が得られます。

主人公の記者はこの見解に納得できず、独自に事件を調べ出します。

その過程で老夫婦が住んでいた集落に潜入し、関係者に次々取材していくものの、彼等は口をそろえて「大変仲の良い夫婦だった」と言うばかりで核心に手が届きません。

なかなか成果が上がらずもどかしい思いをしていた記者を、何者かが突然拉致します。

目を覚ました記者を取り囲んでいたのは、にこやかにインタビューに答えていたはずの村人たち。

一体事件の裏側にはどんな思惑が潜んでいるのでしょうか?

 

北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。

出典:Amazon

 

「よろこびのうた」ネタバレ感想

本作は奇才ウチヤマユージによる社会派漫画。

限界集落、老々介護、児童虐待など現代社会が抱える問題に切り込んだメッセージ性の高い作品となっています。

実際の事件をベースにしているというのも驚きですが、それだけに登場人物の苦悩がシリアスに浮き彫りにされ、彼等の一言一言が胸が痛むような説得力を持ち得ました。

老々介護を苦にした心中と思われていた事件。その裏側にあったのは罪と罰を巡る物語です。

認知症の老女が轢き逃げを犯したとして、はたしてそれを罪に問えるのでしょうか?

おそらく「否」というひとが大半だと思われます。しかし故意の犯行だったら……。

目の前で虐待されている子どもを助ける為、その親を轢き殺す行為の是非は分かれます。

もし周囲に庇われて罪を逃れたとしても、罰されないことでかえって苦しむ加害者の存在を忘れてはいけません。

「よろこびのうた」のテーマは夫婦愛。

本作で心中を選んだ老夫婦は子どもに恵まれず、長年二人で支え合って慎ましく暮らしてきました。

とはいえ老いからくる衰えには勝てず、認知症の妻は徘徊や物忘れが酷くなり、日増しに愛する夫ともコミュニケーションがとれなくなっていきます。

介護者の苦労と被介護者の絶望は比例するのだと、読者にもよく伝わりました。

もし自分が同じ立場だったら、彼、あるいは彼女と同じ選択をしないとは言いきれません。

 

「よろこびのうた」見どころ

本作はなかなか壮絶な話なので、覚悟を持って読まなければなりません。

同時に人が人を思うことの強さが描かれ、愛する人にどこまで尽くせるか問われている気がしました。

結末は賛否両論かもしれませんが、大事なのは本作を読み、自分の頭で善悪を考える事だと思います。

平均寿命が延びた現代社会において、認知症は誰にでも起こり得る現象です。

とはいえ好きな人に日々忘れられていく辛さや介護の大変さは、実際体験してみなければわかりません。

もし介護の経験がある人なら本作に一層共感できますし、ない人なら覚悟を学べます。

老夫婦が心中に追い込まれた背景が理解できた瞬間、圧倒的なやるせなさがこみ上げてきました。

愛する人が罪を犯したら庇って隠蔽するのが正しいのでしょうか?

本人が罰されたいと望んだのなら、一緒に焼かれるのも愛の形かもしれません。

心中を美化するのは考え物ですが、本作で描かれていたのは骨になるまで添い遂げる究極の夫婦愛だと感じました。

個人的には老夫婦を見守る人々の優しい視線と、事件を未然に防げなかった後悔が印象に残りました。

ぜひ多くの人に読んでほしい一冊です。

 

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