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【百鬼夜行抄】あらすじ、ネタバレ、読んだ感想をレビュー

 

妖怪をテーマにした漫画は数多くあります。その中でも一話一話の完成度が恐ろしく高く、複雑な人間関係と衝撃的な真実を描き出す作者の手腕が見事なのが今市子「百鬼夜行抄」

「夏目友人帳」と対となる形で語られることが多い本作ですが、両者のスタンスは似て非なるもので、ある意味では正反対ともとれます。

「夏目友人帳」に出てくる妖怪が人間と縁を結び、友人となれる隣人なら、「百鬼夜行抄」の妖怪たちは相容れない異界の住人。

適切な距離感を保って付き合わないと、彼岸に引っ張り込まれてしまいかねません。

案内人
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今回は和風怪異譚の傑作

「百鬼夜行抄」をご紹介します。

 

 

「百鬼夜行抄」あらすじ

高校生の飯嶋律は家のしきたりで幼少期に女装させられていました。それは律の命を狙うあやかしの目を欺く為に亡き祖父が講じた策でした。

律の祖父・飯嶋蝸牛は有名な怪奇小説家で、生前は幽霊や妖怪と交わって暮らしていたそうです。

直系の孫である律も祖父の性質を濃く受け継ぎ、物心付いた頃から不思議な存在を見てきました。律の力は強すぎる故、それに惹かれて寄ってくるあやかしが後を絶ちません。

そこで祖父は妖怪・青嵐と主従契約を結び、孫の護衛を頼みました。

現在の青嵐は急死を遂げた律の父親の身体に入り込み、雑魚妖怪を食らっています。

さらには従姉にあたる司と晶にも霊能力があり、律と一緒にトラブルに巻き込まれることもしばしば。

今日もまた律のもとにはあやかしが訪れ、彼を此岸へと誘うのでした。

 

幼い頃から不思議な力を持っていた、高校生の飯嶋 律。 律が持つ不思議な力……それは普通の人には見えない妖魔を見る力。 亡き祖父・飯嶋蝸牛が使役していた強力な妖魔・青嵐を護法神とし、 カラス天狗の尾白と尾黒を従え、 さまざまな妖魔との出会いが織りなす不思議絵巻。
            出典:Amazon

 

「百鬼夜行抄」登場人物

【飯嶋律】妖怪や幽霊が見える高校生。

【飯嶋蝸牛】律の祖父。故人。生前は有名な怪奇小説家で多くの妖怪を従えていました。

【青嵐】蝸牛と契約した強大な妖怪。現在は律の護衛を務めています。

【飯嶋司】律の従姉で大学生。酒豪です。

 

「百鬼夜行抄」ネタバレ感想

タイトルの「百鬼夜行抄」とは百鬼夜行抄録の意味。名は体を表すのことわざ通り、選り抜きの話が収録されています。

本作は基本一話完結でどこからでも読めます。主人公の律は日常的に妖怪や幽霊が見えるが故に、彼らに振り回される不便な暮らしを強いられていました。

人間の都合などお構いなしに干渉してくる妖怪たち。しかし自己本位な振る舞いに関して言えば、生きてる人間も負けてはいません。

「百鬼夜行抄」の人間関係は一見とても複雑で、ミステリーとヒューマンドラマを両立させています。

一回読んだだけではわからない伏線が読み返すと理解でき、「そういうことだったのか」と目から鱗が落ちました。

妖怪と対比する形で登場するゲストキャラの数奇な運命も見所で、自業自得の報いで身を滅ぼす者、心の持ちようで幸せを掴む者と様々です。

さらには和風ホラーの真髄が凝縮されており、迷い家や座敷童など、民俗学好きなら大喜びするエピソードを数多く収録。エンターテイメントとして楽しみながら知識が備わっていきます。

作中ではゆったりとですが確実に時間が流れており、初登場時は高校生だった律が大学生になりました。それに応じて周囲にも変化が起き、人が増えたり減ったり戻ってきたりします。

登場人物たちの成長を季節の移り変わりと共に見守れるのも本作の魅力でしょうか。

青嵐をはじめとする律の家来の妖怪たちにも注目。怖いのにどこか憎めない言動やユニークなキャラクターデザインの虜になります。

作者の今市子が文鳥を飼っていることも関係してか、尾白・尾黒の描写にはその観察眼が存分に生かされていました。

人間と妖怪、本当に恐ろしいのははたしてどちらでしょうか?真実は読者の数だけ存在します。

されど人間の欲をあやかしが食らうなら、両者の本質は案外似通っているのかもしれません。

あなたも律と一緒に非日常を体験し、あやかしの世界に迷い込んでみてはいかがでしょうか。

 

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