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【不思議な少年】あらすじ・ネタバレ、読んだ感想をレビュー

 

この世には不思議なことがたくさんあります。不老不死のまま、永遠に美しい姿で生き続ける神か悪魔かわからない存在もいないとは言いきれません。

本作は山下和美の描く珠玉のヒューマンドラマ

案内人
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「不思議な少年」をご紹介します

 

 

「不思議な少年」あらすじ

その少年には名前がありません。

彼は気付いた時にはそこにおり、途方もない長い歳月を老いや死と無縁に生き続けてきました。

ある時はバスジャックを企てた女性の精神世界に、ある時は引退した往年のミュージカル女優の前に、ある時は牢獄に幽閉された流浪の民の生き残りの少年のもとに、ある時は無垢な赤子に転生したロマノフの独裁者の傍らに……

神出鬼没に現れてはほんのひとときを共に過ごして去っていきます。

少年と出会い別れた人々は彼との対話や交流を通し、人生の真実や生きることの意義を見直していきます。

 

あらゆる時代とあらゆる場所を「彼」は訪れる。――終戦直後の日本に生きる家族を縛る「血」と「土地」。19世紀末のロンドンを懸命に生きる身寄りのない少女。生きる目的を知らぬまま戦国乱世を駆け抜けた1人の青年。それはいつの時代も変わらない人間らしい生き方。そこに1人の少年がいた。永遠の生を持って「人間」を見つめる不思議な少年が。『天才柳沢教授の生活』の山下和美が人間の光と闇をきらびやかに描く新シリーズ、堂々のスタート!

出典:Amazon

 

「不思議な少年」登場人物

【少年】 本作の狂言回し。不老不死のまま永遠に生き続ける謎の存在。出会った人々に時に手を差し伸べ、時に冷たく突き放します。

 

「不思議な少年」ネタバレ感想

山下和美の代表作は「天才柳原教授の生活」。こちらはフジテレビでドラマ化もされ、ダンディーで博識な柳原教授の振る舞いが人気を博しました。

近年は近未来社会から隔離された集落を描いた「ランド」が注目を集めています。

「不思議な少年」は「トム・ソーヤの冒険」で有名なアメリカの作家、マーク・トウェインの同名小説に着想を得た山下和美の傑作。

「モーニング」にて不定期連載されており、2020年に最新作が発表されています。

本作のキーパーソンとなる少年には名前がありません、素性も一切不明です。

彼はただ人類の誕生から滅亡までを遥かな時空を超えて見守り続けていました。

基本一話完結で、少年が出会い別れるひとびとの視点から物語は進行します。

人間の命は有限。だからこそどう生きるかが問われます。本作に登場する人間たちは生涯をかけて夢や目標に取り組む者が大半。

一方で素晴らしい才能を持ちながらも世に出ることを望まず、大事な人やものと寄り添ってひっそり息を引き取る者もいます。

少年は神の視点からそんな人間たちの営みを俯瞰しており、原則として強く干渉することはしません。

ですが例外もあり、自分が心酔する音楽家や、大好物のお菓子を生み出した人間の運命を良き方向に導こうと暗躍することもまります。

達観しているのに妙に子どもっぽい所もある、少年のギャップにときめきますね。

また、本作は崇高な善性と低俗な悪性を併せ持った人間の本質を容赦なく抉り出し、単純な善悪で裁けないものもこの世にあると思い知らせてくれました。

作中屈指の鬱エピソードで呼ばれる「由利香」にて、少年は両親・姉と共に田舎暮らしをしている平凡な中学生、由利香に接触します。

由利香は少々垢ぬけないながらも優しく純粋な心の持ち主で、あっというまに少年と仲良くなりました。

ところが、この由利香は現実には存在しません。

本当の由利香は現実の世界で殺人を犯した末にバスを乗っ取り、最期は警察に射殺されました。

のちに由利香は幼少時から父親に性的虐待を受け続け、その後母親を殺害し刑務所に入れられた経緯が明らかになります。

少年が会っていたのはほんの少し何かが違っていたらあり得たかもしれない……

ん由利香自身がこうありたいと無意識に願っていた、殺人犯の空想の世界に生きるもうひとりの由利香でした。

「不思議な少年」はこの手の実験的な演出や構成の仕掛けが尽きず、しばしばクライマックスでどんでん返しが起き、読者をあっと言わせてくれます。

各話の主人公も老若男女ばらけており、それぞれ異なる価値観や信念を持っているので、どのエピソードが一番好きかは人によって分かれるでしょうね。

山下和美が描く魂を震わすヒューマンドラマ、気になる人はぜひ読んでください。

 

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