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【当て屋の椿】あらすじ・ネタバレ、読んだ感想をレビュー

 

江戸時代を舞台にしたミステリーと言ったら何を思い浮かべますか?

今回は男と女の愛憎が渦巻く花街・吉原を中心に巻き起こる事件を描いた川下寛次の漫画

案内人
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「当て屋の椿」をご紹介します

 

 

「当て屋の椿」あらすじ

時は徳川幕府が治める江戸時代。主人公の鳳仙は絵で成り上がるのを夢見ていたもののぱっとせず、副業で春画を手がけています。

女性恐怖症の鳳仙が描く女体は生々しいと絶賛され、今ではそちらの方が有名になってしまいました。

ある日鳳仙がモデルにした遊女が惨殺される事件が発生、情夫の歌舞伎役者に疑いがかかります。

被害者の父の嘆きぶりを目の当たりにした鳳仙は遺族に同情し、同じ長屋に住む当て屋を頼りました。

ところがあらゆる謎を解くのを生業とする当て屋の正体は、椿と名乗る若く美しい娘で……。

 

時は江戸時代。巷で起こる数多の事件を、当て屋の椿が次々解決!! 奇想天外、大江戸吉原ミステリー!!

出典:Amazon

 

「当て屋の椿」登場人物

【鳳仙】 貧乏長屋に住む絵師。しかしさっぱり売れず不本意ながら春画を手がけています。動物が好きな優しい青年です。

【椿】 鳳仙と同じ長屋に住む少女。あらゆる謎を解き明かす当て屋を営んでいます。博識な理屈屋。

【篝】 吉原の遊郭で暮らす千里眼の少女。椿が後見人を務めています。幼女のようにあどけなく天真爛漫。

 

「当て屋の椿」ネタバレ感想

「当て屋の椿」は江戸時代を舞台にしたミステリーです。

しかし本作で比重がおかれているのは「どうやって」より「どうして」の部分、即ち犯人の動機。

事件の真相にはかなりの割合で超自然的な要素が絡んでくるので、和風ホラーの趣も強いです。

それがウィークポイントになっていないのは、うっとりするほど美麗な絵柄と人間が織り成す愛憎に焦点をあてた作風によるものでしょうか。

川下寛次は女体の肉感にこだわりぬいています。作者の筆が描き出す女性たちは柔らかさとしなやかさが強調され、とても官能的。

遊郭が舞台故に性描写も多く、耽美なフェチズムが炸裂しています。

もちろん着物の柄や風物の描写にもコストをかけており、万華鏡か絵巻物でも見ているようで目の保養になりました。

登場するキャラクターの大半が美男美女なのも読者の需要がわかっています。

本作で描かれる事件は猟奇的なものが多く、大抵の場合後味悪い結末を迎えます。その救い難い悲哀こそ「当て屋の椿」の真骨頂。

鳳仙に代表される長屋の面々が貧しくも心優しい人々として描かれているだけに、そんな理解者を持てなかったゲストの数奇な運命や悲壮な末路が心に残ります。

個人的に好きなのは養蚕家の跡取り娘・深山のエピソード。新章開幕と同時に鳳仙の前に現れるゲストヒロインたちが、四季折々に咲き誇る花の如く事件を彩ります。

キャラクターの名前が植物に関係しているのも面白い仕掛けですね。

一方、鳳仙や椿も壮絶な過去を背負っていました。

物語が進むうちに明らかになる主要キャラの生い立ちはとても重く、回想シーンは涙を禁じ得ません。

人体損壊など残虐な描写も多いのですが、絵が上手すぎる為に責め絵に通じる残虐美を見出してしまいます。

また、本作の持ち味として言及したいのがコミカルな掛け合い。

探偵と助手コンビの椿と鳳仙はもちろん、どんなに惨たらしい事件の恐ろしい犯人も親しみが持てる一面が描かれ、それが絶妙な人間臭さを生んでいました。

犯人の動機は男と女の痴情の縺れや世間を憚る家族の秘密など様々。

架空の存在でしかない幽霊や妖怪より、人が人に働く鬼畜の所業が一番おぞましいと痛感せざるえません。

だからこそ被害者や犯人に見せる鳳仙の優しさが、より尊く思えてきます。根っこに情が通った椿の厳しさともバランスがとれていました。

刊行ペースが遅いのが難点ですが、裏を返せばすぐ追い付けるのが長所。

江戸時代特有の風俗や言い伝えが事件を解く鍵になるので、民俗学が好きな人にもおすすめしたいです。

最新刊では椿と過去の因縁がある人々が動き出し、ますます目が離せない展開になってきました。

 

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