あなたは鬱漫画が好きですか?
漫画を読んで立ち直れない位ダメージを受けて、心を鍛え直すのもたまには良いのではないでしょうか。
今回は軽い気持ちで手に取った読者を絶望のどん底に突き落とす浄土るる短編集、「地獄色」をご紹介します
「浄土るる短編集 地獄色」あらすじ
猫と呼ばれているけれど決して猫ではない、謎の生物の脅威にさらされている世界。
人間たちは猫の侵略を食い止める為様々な動物の遺伝子を掛け合わせた兵士、通称「猫殴り」を生み出しました。
しかし実物の猫を見たことない街の人々は猫殴りを気味悪がり迫害しています。
さらに猫殴りたちは餌も一日一回、吹きさらしの団地で寝起きを強制されるなど日常のあらゆる面で差別されていました。
小太郎はその猫殴りの一人ですが、猫を殴った事が一回もありません。故に肩身が狭い思いをしています。
猫を殴った猫殴りは天国より素晴らしい大天国に行ける、だからどんどん猫を殴れと教師は説き、他の仲間たちはそれを無邪気に信じている模様。
しかし小太郎が猫を殴らないのには理由がありました、彼女は大天国など実在しないことを知っていたのです。
全ては猫殴りを従順にさせておくための嘘……なのに何故仲間たちは嬉々として戦場に出るのでしょうか?
19歳の鬼才、降臨。衝撃の問題作、爆誕。 彗星のごとく現れ SNS上の話題を一心に集めた “浄土るる”。 いじめを題材にし、 SNS上で累計10万いいね獲得『鬼』や、 幸せについて思いをめぐらす 人間ではない生き物たちの苦悩を描いた『猫殴り』など 目を離せないラインナップ。 さらに未発表の短編『こども』も収録し、 圧倒的密度であなたに濃密な“気持ち”をお届けいたします。
出典:Amazon
著者 浄土るる 出版社 小学館 発売日 2020年11月30日
「浄土るる短編集 地獄色」登場人物
【小太郎】 猫殴りの一人。たぬきのような丸耳を頭に生やした少女。人間が嫌いです。
【チエ】 猫殴りの一人で小太郎の友達。無邪気で朗らかな少女。
【ミケコ】 猫殴りの一人で小太郎の友達。大人びた少女。戦場で重傷を負います。
「浄土るる短編集 地獄色」ネタバレ感想
浄土るるは短編「鬼」がSNSで1万RT以上されてバズった、弱冠19歳の新人漫画家です。
本作「浄土るる短編集 地獄色」は、表題作「猫殴り」の他に「鬼」「神の沈黙」「こども」を収録しており、どれも目を覆いたくなる鬱展開で読者をうちのめました。
共通しているのは大人の身勝手さ。安全圏から嬉々として差別を行い、自分の立場が危うくなるや保身に走る人間の利己的な醜悪さです。
「猫殴り」「鬼」「神の沈黙」には陰湿ないじめ描写や大人から子どもへの暴力描写があるので、辛くて読めない人もいそうですね。
絵柄は可愛くポップですが、目が怖いです。
無表情な白目はどこを見ているかわからず、読者を終始不安にさせる虚無がそこにあります。
まだ小中学生に過ぎない少女たち生来の無邪気さに対し、彼女たちを取り巻く地獄めいた環境の過酷さと、無関心な人々が向ける悪意の残酷さはとどまるところを知りません。
両者の溝が壮絶な違和感となり、ざらざらした読み心地をもたらしました。
「鬼」は母親にDVを受ける小学生・子豆が、母親のいない転校生・ぽんぽことどうにか仲良くしようと悪戦苦闘する話。
転校生をいじめから庇い続けた子豆はやがて孤立するも、どこか妹に似た目をしたぽんぽこを構うことをやめません。
もし二人が友達になればめでたくハッピーエンドなのですが、「鬼」はラストで読者をどん底に叩き落とします。
心が通い合った直後にぽんぽこは子豆はぽんぽこを裏切り、今度は自分がいじめる側に回るのです。
エグいまでの胸糞エンドですが、案外現実もこんな感じかもしれません。
「神の沈黙」は新興宗教にハマった親に虐待される友達を救おうとする中学生の話。
主人公・松子は子どもの頃唯一の友達だった越と哀しい別れを体験していました。
母親に力ずくで引きずられてく越を見て、「次に会ったら絶対助ける」と誓いを立てる松子。
しかし中学で再会した越は両親の離婚で苗字が変わっていました。
不良にいじめられる越を目の当たりにしても松子はなかなか行動を起こせません。
そればかりか「苗字が違うから別人だ」と自己暗示をかけて見て見ぬふりを決め込みます。
そんな卑怯で臆病な松子がある事をきっかけに勇気を出す、終盤の展開は泣かせました。
この話もハッピーエンドと見せかけた後に衝撃のラストが待ち受けており、正しさとは何か、幸せとは何か考えさせられます。
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