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【残穢】小説あらすじ・ネタバレ、読んだ感想をレビュー

 

根強いファンが大勢いるホラー小説。背筋がぞくぞくする体験は、フィクションだからこそ楽しめますよね

今回は近年刊行されたホラー小説の中でも傑作と名高い

案内人
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小野不由美「残穢ざんえ」をご紹介します。

 

 

「残穢」あらすじ

主人公はホラー小説家の「私」。

「私」は現在新作に取り組んでおり、大量のファンレターを読み漁って実話のネタを拾っています。

ある日読者から届いたファンレターを読み、住民の入れ替わりが非常に激しいマンションの存在を知る「私」。

差出人の大学生・久保は、大学に通うためその部屋に越してきてから嫌な視線を感じたり、何かが畳を這いずる音を聞いたりと数々の奇妙な体験をしていました。

手紙を読み進めるうちに「私」の中で違和感が膨らんでいきます。久保が住んでいる部屋を知っているような気がするのです。

違和感の出所を確かめようと過去のファンレターを漁り始めた「私」は、数年前に受け取った読者の手紙を発見。

それは幼い娘を育てる主婦が書いたもので、久保の体験とよく似た出来事が綴られていました。

偶然で片付けるには気味悪すぎる符号の一致に興味を覚え、「私」は調査を開始します。

 

この家は、どこか可怪(おか)しい。転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が……。だから、人が居着かないのか。何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、ある因縁が浮かび上がる。かつて、ここでむかえた最期とは。怨みを伴う死は「穢(けが)れ」となり、感染は拡大するというのだが──山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!

出典:Amazon

 

「残穢」登場人物

【「私」】作者・小野不由美がモデルとおぼしきホラー小説家。本作の語り手。取材力に優れ、実際にフィールドワークを重ね、久保を巻き込んだ因縁の大元に迫っていきます。

【久保】「私」の小説の愛読者でファンレターの差出人。大学に通うため引っ越してきたマンションで数々の恐ろしい体験をします。のちに「私」と組んで、自分が暮らすマンションが建っている、土地の因縁を探り始めました。

 

「残穢」ネタバレ感想

小野不由美は中華風異世界ファンタジー「十二国記」がヒットを飛ばした小説家。

一方でホラーにも造詣が深く、「鬼談百景」など和テイストの小説を多く刊行しています。

「残穢」は竹内結子主演で映画化もされた傑作。

本作の新しい所は、主人公の「私」が長年の文筆業で培った知識と経験、ならびに類まれなる取材力を生かし、事故物件が生まれた経緯に迫っていく構成です。

調査を続けるうちに因縁は建物にあらず、土地そのものに根付いていると看破する「私」。

そこから衝撃の真実が次々と明らかになり、読者も「私」や久保と一緒に、おぞましい歴史の暗部に足を踏み入れる事になります。

もとよりホラーとは意味不明なもの。何故怪奇現象が起こるのか、何故特定の人物が心霊体験をしたのか、核心は曖昧なまま終わる事も多いので消化不良は否めません。

しかし「私」は地道な検証と取材を重ね、徐々に呪いの源流へと遡っていきます。

この過程が描写される事で「何故」の部分に説得力が生まれ、点と点でしかなかった関係者同士に線が結ばれていくのがミステリーを読んでいるようで快感でした。

 

「残穢」見どころ

余談ですが「呪術廻戦」の作者・芥見下々も本書の大ファンであり、作中に残穢の用語を登場させています。

怪異の元凶に迫っていく過程自体はロジック重視でミステリー色が強いものの、ホラー描写に一切手抜きをしないストイックさが小野不由美らしいと思いました。

序盤で幼女が目撃した「ぶらんこ」の正体がわかった瞬間はぞっとします。

他にも縁の下から聞こえる猫の鳴き声や帯が畳を掃く音など、五感の中でも特に聴覚に訴えかける描写がじわじわ恐怖を盛り上げました。

終盤では「私」が同業者と合流し九州へ飛ぶのですが、この時登場するホラー作家、平山夢明と福澤徹三に注目。

二人ともホラー小説界の巨匠であり、後者に至っては実話怪談集めの名手とされています。

ホラー小説に詳しい人なら絶対テンションが上がるカメオ出演なので、二人のファンならこのシーンだけでも読んでください。

個人的には三津田信三「どこの家にも怖いものはいる」と通底するテーマを扱っているのが嬉しいサプライズでした。

 

 

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