皆さんは火葬場に行った経験がありますか?
葬式がないとなかなか立ち入る事がない施設とあり、火葬場スタッフの日常や仕事ぶりは意外と知られてないですよね
今回は怪談師としても活躍中の下駄華緒のエッセイ漫画、「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」をご紹介します。
「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」あらすじ
主人公は作者と同名の下駄鼻緒。彼はひょんなことから火葬場スタッフに転職し、数多くの遺体の火葬に立ち会います。
ところが火葬場では日々様々なトラブルが起き、遺族やスタッフの悲喜こもごもな人間模様が交錯していました。
火葬炉の中で起き上がる仏様や水を吸って重くなった水死体……通称「水仏」の火葬をこなすうちに、下駄は一人前のスタッフとして成長していきます。
今日もまたベテラン先輩スタッフや自分に片想いする美人後輩スタッフに囲まれ、火葬場で働く「僕」の日常が幕を開けるのでした。
「火葬場職員は人生の締めくくりをしてあげられるすばらしい仕事」と熱い気持ちを抱き火葬場の門を叩いた下駄華緒。晴れて火葬場職員になった下駄青年であったが、火葬場では日々壮絶な出来事が待ち受けていた――。火葬炉の火の中で動き出すご遺体、火葬中に破裂したご遺体の骨片や肉片による怪我、ずっしり重く豆腐のような状態で棺に収められた水死したご遺体などなど――。個性あふれる同僚職員たちと様々な業務を通し、一人前の火葬場職員になるまでの日々を描く――!!
出典:Amazon
著者 下駄華緒・蓮古田 二郎 出版社 竹書房 発売日 2021年9月24日
「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」登場人物
【下駄華緒】主人公の火葬場スタッフ。以前は冠婚葬祭と全く関係ない仕事をしていました。やや頼りないながらも実直な性格で、真心こめて故人の火葬に立ち会います。
【鬼瓦もも子】下駄の三か月だけ後輩で彼に片想いしている女性。前職はアパレルメーカー社員。可憐な見た目に反し豪胆で有能。火葬の現場でも取り乱しません。
【尾知しげる】下駄の新人時代の指導にあたったベテランスタッフ。ハゲ頭にサングラスをかけています。火葬場におけるマナーや火葬のやり方に精通しており、下駄に度々アドバイスをします。息子を釣りの最中に亡くしました。
「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」ネタバレ感想
下駄華緒は2018年にユニバーサルミュージックよりデビューを果たしたバンド、「ぼくたちのいるところ。」のベーシスト。
さらには怪談最恐戦2019でグランプリの怪談最恐位を獲得するなど、幅広い分野に通じた異色の経歴の持ち主。
現在はYouTubeにチャンネルを持ち、火葬スタッフ時代に体験した様々な出来事を語っています。
本作「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」は下駄華緒原案、蓮古田二郎作画の漫画。
収録されているエピソードは下駄の火葬スタッフ時代の実体験です。
本作の面白い所は一般人には縁遠い、火葬場(スタッフ)の日常を覗けるところ。
たとえ近所に火葬場があっても、実際中に入った人は少ないのではないでしょうか?
中に入ることができるのは葬式の付き添いで来た時、故に火葬場の実態はあんまり知られていません。
本作では火葬場の知られざる設備が言及されています。遺族が故人を見送る場所は炉前ホール、スタッフがバーナーを操作して棺桶を火葬するバックヤードは炉裏というそうです。
さらには水死体は水を含んでいるので重くなる、女性にも喉仏はある、火葬後の骨の黒ずみは患部じゃなくてただの焼け残りであるなど、知らない事だらけでびっくりしました。
舞台が火葬場なのでオカルト寄りのエピソードも収録していますが、全体の数からいえば少な目。
むしろ故人や遺族に絡んだ話が多く、火葬に対する生者の心構えや死者の想いには深く考えさせられました。
主人公の下駄がとても真面目で心優しい好青年に描かれているのもポイントで、焼けた脳味噌はとても臭い、ペースメーカーを入れた遺体が破裂するなど、ショッキングなエピソードを扱っていても殆ど不快感がありません。
極道の葬式に纏わるエピソードなどヒトコワ系の逸話も多く、知的好奇心が大いに満たされました。
火葬に対する先入観や偏見を持っていたら、やんわり誤解を正してもらえます。
下駄華緒の人柄が伝わるユニークな語り口と蓮古田二郎のコミカルな絵柄もマッチしており、最初から最後まで大変面白く読めました。
人生の最後にお世話になる火葬場。
日本に住んでいる以上避けて通れない場所ならば、この機会に知見を深めてみてはいかがでしょうか?
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